経営者にコーチングが役立つ理由とは?ひとりで抱えがちな悩みとコーチの役割

世界の優良企業では約35%、日本の上場企業でも約12%の経営者や役員が、コーチをつけているといわれています。

経営者には、先を見る力や決める力、まとめる力が求められます。
忙しい毎日の中で、ふり返りながら、会社の成長を考えていきます。

でも、立場上だれにも相談できなかったり、忙しくて頭を整理する時間がとれなかったりする経営者も、たくさんいます。
そこで、定期的にコーチングを受けて、経営者ならではの悩みと向き合う人が増えています。

いま読み返して思うこと

この記事は、何年も前に書いたものです。当時は「経営者は孤独」「悩みを解決するきっかけ」と書いていました。

いま、経営者のクライアントさんとコーチングをしていて思うのは、悩みを解決してもらいに来るというより、自分で走れる人が、立ち寄る場所として使ってくれている、ということです。

私はよく「F1のピットイン」にたとえます。走るのは本人。ピットに入って、タイヤを替えて、作戦を見直して、また走り出していく。そんな使い方をしてくれる方が多いです。

1.経営者がかかえやすい悩み

1-1.経営者は孤独になりやすい

経営者は、毎日たくさんの社員と接します。
売上や組織、新しい商品、これからの事業計画など、考えることも山ほどあります。

いつもだれかと接しているのに、じつは「孤独」を感じやすい立場でもあります。

立場上、社員に弱いところを見せにくいことがあります。
「売上が思うように伸びない」「社員が思うように動いてくれない」といった悩みも、社内では口に出しにくいかもしれません。

社内にマイナスの空気を広げたくない、という思いもあると思います。
そうなると相談できる相手が少なくなり、会社と社員の未来という重い責任を背負いながら、ひとりで考え続けることになりがちです。

1-2.自分をふり返る機会が少ない

上司が部下に「ここは直したほうがいい」と伝えるのはかんたんでも、部下が上司に伝えるのは、なかなかむずかしいものです。

立場が上になるほど、フィードバック(まわりからの率直な声)をもらう機会は減ります。
経営者になると、さらに少なくなるので、自分を客観的に見るのがむずかしくなります。

気づかないうちに、自分の言動がまわりに影響していることも、あるかもしれません。
そのうえ会議や報告、ほかの経営者との交流などで忙しく、自分をふり返る時間もとれないままになりがちです。

1-3.人を育てるむずかしさ

経営者の大きな役割のひとつは、強い組織をつくって、続けていくことです。
そのためには、変化に合わせて動けて、リーダーシップのある人を育てることも大切です。後継者を育てることも求められます。

そうした人を育てるには、知識を伝える「ティーチング」に加えて、相手の考えを引き出す関わり方も役に立ちます。

よくあるのは、自分が育ってきたやり方で、部下にも関わろうとすることです。
そのやり方が合う部下もいれば、合わない部下もいて、すれちがいが生まれることもあります。

2.経営者にコーチングが役立つ理由

2-1.コーチは理解者であり、パートナー

経営者は、相談できる相手が少なくなりがちです。
相談相手がいないことは、大きなストレスにもなります。

コーチには守秘義務があり、話したことを外にもらすことはありません。
いくらぐちをこぼしても、社内に影響することもありません。

コーチは、ビジネスの専門的なアドバイスは、基本的にしません。
答えを出すのは、経営者自身だからです。話を聴いて受け止め、本当の問題や解決策を引き出すのが、コーチの役割です。

弱いところも話せる相手がいるのは、とても大きいと思います。
コーチは、指導者というより、となりで一緒に考える理解者であり、パートナーのような存在です。

2-2.新しい見方が手に入る

コーチの質問に答えることで、自分をふり返ります(内省)。
頭が整理されて、これまで見えていなかった問題に気づけるようになります。

ひとりでふり返るのと、人から質問されるのとでは、考えられる「深さ」がちがいます。
考えたこともなかったような気づきが生まれることも、よくあります。

忙しい経営者は、新しい見方にふれる機会が少なく、ものの見方がかたよりがちです。
コーチングで新しい見方を持つと、解決策を考えて、行動に移しやすくなります。

2-3.ビジョンがはっきりする

やることや考えることが多いと、本当に目指したい未来や、いちばん大事な取り組みが、ぼやけてしまうこともあります。

ゴールをはっきりさせ、その先のビジョン(目指す未来の姿)をイメージできるよう関わるのも、コーチの大切な役割です。
自分や会社の目標は何か、そのために何をするかが、整理されていきます。

コーチ(coach)は、もともと「馬車」という意味です。
大切な人を、望む場所まで送り届けるものです。

ビジョンがはっきりすると、新しいアイデアも生まれやすくなります。

2-4.人を育てるコツがわかる

うまくいってきた経営者ほど、自分のやり方を大事にしていて、それが部下の育ち方と合わないこともあります。

自分がコーチングを受けると、受ける側の立場に立てます。
「どう関わると、相手が自分で解決する力がつくのか」「どんな話し方だと、信頼されて、やる気が高まるのか」を体で感じられます。

長く受けるうちに、傾聴の大切さを知り、信頼される関わり方が身についていきます。
指示だけでなく問いかけで、自分で気づいて動ける人を育てるコツが、わかってきます。

社員の可能性を引き出せるようになると、社内の雰囲気や成果も変わっていくことがあります。
経営者の変化が、会社にもいい影響を広げていきます。

まとめ|忙しい経営者にこそ、コーチを

コーチングを受けると、自分の歩みをふり返るきっかけになり、社員への関わり方も変わってきます。
会社全体の士気が高まるなど、いい効果も生まれていきます。

世界中の経営者がコーチをつけているのも、こうした理由からかもしれません。
忙しい経営者にこそ、コーチは力になれると考えています。

経営者のクライアントさんに教わったこと

経営者のクライアントさんとのコーチングが、3か月ほど続いていたときのことです。いろいろなコーチを試したうえで、私を選んでくれた方でした。「3年くらいやろうと思って、やっていなかったこと」を、ほんの数週間で形にしていく。そんな勢いのある時期でした。

ある日、約束の時間になっても、Zoomに入ってきません。あとで見ると、前の晩に「仕事が入ったので、日にちを変えてほしい」というメッセージが届いていました。迷惑メールのフォルダに入っていて、私が見落としていたんです。

すぐにお詫びをして、日にちを変えましょうとお伝えしました。その日のうちに、コーチングをやめたいという連絡が届きました。私あてではなく、事務局あてでした。

自分で確認しなかったから起きたことです。そのうえで、いちばんこたえたのは、「何でも言える関係を、つくれていなかったんだな」ということでした。もったいないことをした、と思いました。

経営者は、本音を言える相手が少ない。この記事にもそう書きました。だからこそ、コーチとのあいだは、言いにくいことも言える場所でありたいんです。

この話をもっと聴きたい方へ

コーチングラジオで、リーダーの仕事が楽になる、コーチングの見方を、本を紹介しながらお話ししています。「全部の答えを、自分が出さなくていい」という見方です。私自身も、この見方を持ってから、ずいぶん楽になりました。

▶ リーダーが楽になる、コーチングの3つの本質(コーチングラジオ・YouTube)

経営者の方も、まずは体験コーチングから受けられます。

▶ 「コーチングを受ける」ページ

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