人生はよく「七転び八起き」に例えられます。失敗しては立ち上がり、挫折しては立ち上がる。そうやって人は少しずつ成長していく、ともいわれます。
GE(ゼネラル・エレクトリック)の創始者とされる世界の発明王「トーマス・エジソン」だって失敗を繰り返して、大きな成功を生み出しています。
エジソンの人生は失敗の連続でしたが、彼はこう言っています。
私は失敗したことがない。ただ、一万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ
と。
そう、エジソンにとっては「失敗も成功を生む大切な糧」だったわけです。
このように「物の見方」や「考え方」を変えてみると、気持ちが少し楽になったり、次の一歩が出やすくなったりすることがあります。
失敗や挫折で落ち込むのは、自然なことです。そのうえで、少し気持ちが落ち着いてきたら、ひとつの見方として『リフレーミング』を試してみるのもいいかもしれません。
今回はこのリフレーミングとは「何なのか」、「どう活用していけばいいのか」についてわかりやすくお伝えしていきます。
1. リフレーミングとは何か?
最初にリフレーミングの基本についてお伝えします。
1-1. 物事を見る視点を変える「リフレーミング」
物事を見る視点のことを「フレーム」と呼びます。見る角度によって物事の捉え方は変わります。また、フレームを狭くするのか広くするのかによっても、印象は違ってきます。
そして、このフレームを移行することを『リフレーミング』と呼びます。
簡単に言うと、「物事を別の角度から見てみよう」「もっと広い視野で見てみよう」「もっと細かく見てみよう」ということです。
前向きに取り組んでいるように見える人は、無意識のうちにリフレーミングをしていることもあるのかもしれません。
ビジネスの世界で有名なリフレーミングのエピソードには、靴の営業の話があります。
靴を販売する2人のビジネスマンが、アフリカのある国に着いたときに、この国の人がまったく靴を履いていないことに気が付きました。
この事実はどのような角度から見ても変わることはありませんが、自分のビジネスにどう繋げていくのかという視点に立った時には、話が変わってきます。
ビジネスマンのひとりは、この環境ではまったく靴は売れないだろうと判断し、落胆しました。
理由は簡単です。誰も靴を必要としていないからです。つまりニーズのないマーケットという判断をしたので落胆したわけです。
ビジネスマンのひとりは、この国は大きなマーケットになると意欲を高めました。
確かに誰も靴を履いていないが、これは靴の価値を知らないからであって、靴のニーズを高めることができたら莫大な売り上げを生むことができるマーケットだと判断したのです。
このように、同じ事柄でも見る視点が違うと、心理状態も、そしてその後の行動や結果も変わってきます。
1-2. リフレーミングは3人の有名セラピストの共通スキル
リフレーミングは、NLP(神経言語プログラミング)でも使われるスキルです。もとは、3人のセラピストに共通するクライアントへの関わり方だったといわれています。
アメリカ臨床催眠学会の創始者ミルトン・エリクソン、家族療法の母とされるヴァージニア・サティア、ゲシュタルト療法の生みの親フレデリック・パールズの3人になります。
3人は言葉を使い分けながら、クライアントが「新しい気づき」を得られるように関わっていました。この視点の切り替えが、リフレーミングです。
新しい視点を得ることで、クライアントは「落ち込んだ心理状態から、やる気を取り戻すこと」ができたわけです。
こう聞くと、セラピストにしか使えないスキルのように思えるかもしれませんが、意識すれば、日常の中でも取り入れることができます。
落ち込んでいる人との会話で、別の見方を一緒に探すきっかけになることもあります。また、自分自身に使ってみることもできます。
2. リフレーミングは、どのような場合に効果的なのか
ここでは、リフレーミングが役に立ちやすい2つの場面を紹介します。
2-1. 失敗や挫折で落ち込んだ気持ちを、少し軽くする
仕事で、いつもうまくいき続けることは難しいものです。
どんなに経験のある人でも、ときには失敗し、ときには大きな挫折を味わうことがあります。挑戦すれば、うまくいかないこともあります。
そんなとき、「今回の失敗をどう意味づけするか」で、その後の気持ちや行動が変わってくることがあります。
何かに挑戦してうまくいかなかったとき、「自分には無理だ」「自分には才能も能力もない」「せっかくのチャンスを台無しにした」と落ち込むのは、自然なことです。ただ、その見方だけで考え続けていると、次の一歩が出にくくなることもあります。
チームで仕事をしている場合は、まわりの雰囲気に影響することもあります。
ここでリフレーミングをして、別の見方をしてみます。
エジソンは『困難は次の新しい世界を発見する扉である』と言ったといわれています。
「失敗や挫折は、新しい世界へ踏み出すチャンス」と考えることもできます。
失敗してしまったときでも、「失敗こそが大きな学びの機会」であり、「挫折を経験することは成長するチャンス」だと考えてみると、次の行動への意欲が湧いてくることもあります。
このように、リフレーミングは、失敗したあとに「やる気」を取り戻すきっかけになることがあります。
2-2. 自分の短所が気になって自信が持てないときに、別の面から見てみる
自分で欠点だと感じているところはコンプレックスになりやすく、新しいことに挑戦しにくくなることもあります。
例えば、【自分は面白味がなくて内気だから、社会に出て営業なんて無理だろう。職場の人間関係にも苦労するかもしれない】と悩んでいたとします。確かに営業職であれば、明るく活発で社交的な人が活躍しているイメージが強いですね。
この場合、「面白味がない」「内気」というのが気になる欠点です。しかし、リフレーミングしてみると違う見方もできます。
「面白味がない」は、「真面目である」ことの裏返しともいえます。「内気」というのは「じっくり落ち着いている」「自分の世界観を持っている」と見ることもできます。
真面目で、じっくり落ち着いている営業担当は、取引相手から信頼されることも多いと思います。自分の世界観を表現することで、新しいアイディアを提供できるかもしれません。
自分の足を引っ張っていると思っていた欠点も、リフレーミングしてみると、強みとして活かせることがあります。
自分の短所を、別の面から見てみるきっかけにしてみてください。
3. リフレーミングの具体的な方法
ここでは実際にリフレーミングを行う方法について解説していきます。
3-1. 状況や意味をリフレーミングする
ここでは、フレームを別の方向に移してみる方法を2つ紹介します。
移行の仕方のひとつとしては、「現状では自分に対して悪影響かもしれないが、他の状況であれば有効なのではないか」と考えてみることです。これは「状況」をリフレーミングするということです。
例えば、自己主張が強いと感じる人も、活発に意見交換するミーティングの場面では力を発揮することがあります。
このように状況を変えてみると、受け止め方も変わってきます。今まで否定的に見えていた相手の、別の一面が見えてくることもあります。職場の人間関係に悩んでいるときにも、役に立つことがあります。
また、相手の行為や出来事に対し「他にどんな意味があるのか」考えてみるのもひとつの方法です。これは、「意味」をリフレーミングします。
すぐに叱りつけてくる胃の痛くなるような上司の言動も、「上司の立場に立って見てみると、自分に期待して、成長を願っている行為」だという気づきが生まれるかもしれません。
そう考えてみると、上司の言葉の受け止め方が少し変わることもあります。
もちろん、つらさが強いときや、言葉が行きすぎていると感じるときは、無理に良い意味を探さなくてもいいと思います。信頼できる人や相談窓口に話してみるのも、ひとつの選択肢です。
また、リストラなどで仕事を失うのは、とてもショックな出来事です。それでも、時間がたってから「未来の自分の立場から見てみると、本当にやりたいことを考え直すきっかけだった」と思えることもあります。もちろん、すぐにそう思えなくても自然なことです。
気持ちが少し前を向くと、目標に向かって動きやすくなります。自分にとって意味のある出来事だと感じられると、「ここからどうしていこうか」と考えやすくなります。
3-2. 解体してリフレーミングする
人間関係の悩みや職場環境の悩みは多くの人が抱えている問題です。そのために会社を辞めるケースもあるほどです。
相性のいい人ばかりの職場や、まったく不満のない職場は、なかなかないものです。
そんなときに、リフレーミングを試してみるのもひとつの方法です。
「あの人はとても嫌な人だ」「この会社は自分に合わない」と感じている場合は、対象をより細かく「解体する」フレームが役に立ちます。
「何が自分をそう思わせているのか」「それはどのくらいの頻度で起こっているのか」「他と比べてみるとどうなのか」といったことを、ひとつずつ確かめてみます。
そうすることで、思っていたより限られた場面のことだったり、思い込みが混ざっていたりすることに気づくかもしれません。
これに気づけただけでも、少し気持ちが軽くなることがあると思います。
4. 他人にリフレーミングを行うときの注意点
ここまででリフレーミングのメリットや活用方法について紹介しましたが、最後に注意点をお伝えします。
他の人に対してリフレーミングをするときは、かえって相手を傷つけてしまうこともあります。相手の気持ちに寄り添うのは、思っている以上に難しいことだからです。
何か問題があったときに、「こう考えれば大丈夫だよ」とあなたが言ったとしても、「何もわかっていない!」と思われることだってあります。リフレーミングをするときには、相手の感情を理解し、気持ちに寄り添うという前提があるのです。
そのため、他の人に使うときは、まず相手の気持ちを受け止めることを大切にしたいところです。学んだことのある人に教わってから使うのも、ひとつの方法です。
言葉ひとつで、相手をさらに追い込んでしまうこともあります。ある人には役に立っても、別の人には合わないということもあるので、他の人に使うときは、慎重に進めるのがいいと思います。
まとめ
リフレーミングをするには
- 状況や意味をリフレーミングする
- 解体してリフレーミングする
という方法があります。
一生懸命取り組んできたからこそ、失敗すれば挫折も感じます。挫折感は、それだけ頑張ってきたからこそ感じるものなのかもしれません。
落ち込む時間があってもいいと思います。少し落ち着いてきたら、別の見方を探してみるのもいいと思います。
困難なときにリフレーミングをして、失敗を学びの場にできると、自分自身の成長につながったり、周囲にもいい影響が広がったりすることもあります。
ただ、他の人に使う場合は、相手の気持ちを先に受け止めることを大切にしてみてください。
リフレーミングを、ものの見方の引き出しのひとつとして、使ってみてはいかがでしょうか。









